モダン建築、ポストモダン建築の時代を経て、建築と都市は今、大きな転換期を迎えています。特に我が国では、昭和の終わりとともに、いわゆる戦後の復興期を終え、建築や都市が21世紀にふさわしい新たな価値と美意識に基づいて、大きく変貌しようとしています。
そこで重要なのは、これからの時代は、近代建築のシャープさに、人間的な安らぎや親しみ、さらには歴史を感じさせる風合いを加味することで、建築や都市の景観を豊かにすることがより求められています。
近代のテクノロジーの発展は、高層ビルや大空間を可能にし、いわゆるモダンでシャープなインターナショナル・スタイルを生み出しましたが、近年、計画規模がより巨大化、広域化するにつれ、ともすれば非人間的な印象を人々に与えかねない巨大ファサードや、それがタウンスケープに与える影響といった新たな課題を生み出しました。
アダマシリーズはそのような観点から、伝統的な言語の風合いを生かしつつ、近代建築や都市空間にもマッチするよう開発された新たな建築表現言語です。
アダマシリーズの大きな特徴はまず、材料が無機質であるため、材料そのものが環境に与える負荷や、施工時における作業者や周囲への負担が少なく、また顔料も無機質のものを用いているため、耐侯性が極めて高く、ほとんど 変色が見られないということがあげられます。
また、スタッコの持つ風合いやテクスチャーを、独自に開発した技術と技術者によって実現しているため、熟練工による在来の工法に比べて、品質や仕上がりが安定しており、コスト的にもリーズナブルです。
デザイン的メリットとしては、高温多湿の我が国では外壁にはほとんど不可能であるとされてきたアンティコスタッコの持つ美しい風合いとデリケートな色調、そしてその持続を実現したことに加えて、基本的にGRC、パネルを下地と する工場生産であるため、近代建築の表現と工程に適しており、複雑な造形も容易なことがあげられます。
また色調が統一されていますので、異なる色を用いても全体の調和を損なうことなく美しいファサードやタウンスケープを創造することが可能です。